ノンデザイン
バックグラウンドから
社内デザイン組織への
キャリアチェンジ

永谷実紀







TCLの印象




学生時代は写真家になりたかったほど右脳派の人間なのですが、会社に入ってからは数字を扱う仕事が中心で、左脳ばかりを使っていました。もう少し右脳を使うことで、新しい発想・価値を生み出せないかと思って先輩に相談したところ、TCLの存在を教えていただきました。
美術大学の大学院コースも検討していたのですが、募集要項のハードルが高くて。TCLは美大卒でなくても応募できるので、右脳を鍛えるのにちょうどよさそうなプログラムだなと感じました。
当時は一期生募集のタイミングだったので、最低限の情報しか分かりませんでした。申し込みの段階では、デッサンをするような授業だと思い込んでいましたが、思ったよりビジネスに繋がる内容でした(笑)。








TCLで学んだこと




「デザインって色や形のことだけじゃなくて、もっと幅が広い世界なんだな」と気づかされました。永井一史さん(多摩美術大学統合デザイン学科教授)が、最初に「デザインとは設計することです」という主旨のお話をされていて。デザイナーの方って、常に世の中に溢れている不便や不安の解決策を考えていらっしゃるんですよね。
私はTCLを受講するまで、世の中にあまり違和感を感じていなかったというか、「こんなものだろう」と疑問を持たずに過ごしてきました。でも3ヶ月間の講義を通して、問いを持つことや、違和感から気づきを得ること、自分の内側から生まれる内発的動機を大切にすること、ビジュアルやストーリーの重要性など、デザインに欠かせない視点や習慣が身に付きました。




自身の変化




TCLでは、売上・利益などの経済的合理性だけを追い求めるのではなく、文化を変えたり社会的な価値を生み出したりする「美しいビジネスの在り方」について考える機会が多くありました。そこで、私が今できる第一歩として、経営企画の実務経験とTCLで学んだデザインの知識を掛け合わせて、両者を繋ぐコネクターになろうと決めました。
具体例を挙げると、社長・CFOに他社分析のレポートを共有するときは、五感に訴えかけるようなビジュアル重視の資料を作ったり、デザイン部門の企画部長に「TCLで学んだことを活かしたいので、何かご一緒できませんか?」と相談したりしました。
個人的な活動のつもりでしたが、「それなら異動してきて一緒に仕事をしない?」と声を掛けていただき、思いがけず経営企画との兼務が決まりました。右脳を使う仕事がしたかったのですが、理系ではないのでエンジニアにはなれないし、美大卒ではないのでデザイナーにはなれないと思っていたので、デザイン部門で仕事ができるのはすごく驚き嬉しかったです。最初の仕事は、特許庁の「 I-OPEN プロジェクト」受託業務運営でした。 社会課題の解決に取り組む企業や個人が、知的財産を活用するための伴走支援プログラムなのですが、 自分がまさにやりたかった、「美しいビジネスを世の中に増やすこと」に繋がっていて、貴重な経験になりました。
現在はクリエイティブセンターというデザイン部門に正式に異動して、主にプロジェクトマネジメントの仕事をしています。 社内の戦略プロジェクト運営や、銀座にある 「Sony Park Mini」で 「パークラボ」プログラムの運営、異業種分析、そして今年も特許庁プロジェクト2事業の企画運営に携わっています。
TCL修了時に、永井先生がおっしゃっていた「受講だけで終わらせずに、社会実装してくださいね」という言葉がずっと頭の中に残っていたので、形にできてよかったです。




受講を検討されている方へ




デザインを全く学んだことがない状態で受講しましたが、デザインを学び、プロトタイプ実装、講師陣・同期とのネットワークができるだけでなく、結果的にキャリアチェンジまで出来ました。転職した同期も数名いますし、TCLの門を叩いてみたら、あなたの未来が変わるかもしれません。
私は卒業生(アルムナイ)のコミュニティマネージャーをつとめているのですが、アルムナイコミュニティがあることで、期を超えて仲間が繋がり、様々な交流が出来ています。イベントだけでなく、各種部活動を作ったり、デザイン経営に関わる研究会を立ち上げたりもしています。
様々なバックグラウンドを持つ会社や職種の人が集まっているので、将来アルムナイメンバーで、社会実装のためのプログラムを組めたらいいなと思っています。
例えば、地域企業の支援など、同じ志を持つ人たちと、美しい未来をつくるためにプロジェクト単位で動けたら、より強い卒業生コミュニティになりそうですよね。ぜひ一緒にその場を育めたら嬉しいです。アルムナイでお待ちしています。