「美しいビジネス」という
新たな指標を得ることが
できました。
岡部美幸
受講のきっかけ
TCL を受講する前は、NTT データの IT コンサルタントとして、e コマースのシステム開発の 現場へ行っていました。BtoC 向けのサービスを担当していたので、お客様にとって使いやす いアプリのデザインや、「どのようなショッピング体験を提供するか」というサービス全体の デザインを考えていたんです。私はデザインを学んだことがなくて、手探りの状態で仕事をし ていた部分もあったので、改めて体系的に勉強してみようと思って申し込みました。
そして偶然にも、TCL が始まるタイミングで、サービスデザインの専門チーム(Tangity)への異動が決まりました。実務を通して、サービスデザインの必要性を感じていたので、異動と TCL の受講が 重なったことは「何かのご縁だな」と感じましたね。
TCL で学んだこと
チームでの 10 日間のプロジェクトワークを経て、新しいモノを作るときに「とりあえずやっ てみようという姿勢でいいんだ」「途中で行ったり来たりしてもいいんだ」と実感できまし た。TCL 講師の方が、よく「モヤモヤを抱きしめてください」とおっしゃっていたのですが、 最初の時点ではその言葉の意味が分からなかったんです。
私たちのチームには、「一人ひとりがもっと自分らしさを発揮できる世の中にしたい」という 想いを持つ受講生が集まっていて、「課題を解決するのためのプロダクトって本当にこれでい いの?」と、毎回のように前進と後退を繰り返していました。
発表の 5 日前まで議論を重ねて、最終的に卓上サイズのデジタルアートフレームを作ることに 決めました。携帯電話を、専用機器にセットした時間の長さによって、画面上のデジタルフラ ワーが育っていくプロダクトです。開花したら、本物の花が自宅に届くというサービスも合わ せて考えました。 様々なアイデアが出ましたが、このサービス名「Rin」はメンバー全員が家に置きたいと心から 思えるプロダクトだったんです。「携帯電話から離れて、自分の内面と向き合う時間を少しで も増やせたらいいよね」と。
私は就活生の頃、黒いスーツを着て、みんなで同じ説明会会場へ行くことに違和感を抱いてた タイプで。一旦イギリスに留学して、フォルケホイスコーレという社会人向けの教育機関に通 ったのですが、同世代の子たちの生き方が本当に自由で感銘を受けました。仕事と学びと遊び をなめらかに行き来しながら、“自分らしさ”を軸に進路を選んでいたんですよ。
そんな風に生きられる世の中をイメージしながら、多摩美の学生さんにお手伝いしてもらって プロトタイプを作ったり、各々の得意分野を活かしながら LP を作ったりしました。
自身の変化
これまで、最初に計画を固めて、期限内にやり遂げることがよしとされる世界で生きてきたの で「Rin」の制作を通してマインドセットが書き換わりました。講師陣の「モヤモヤを抱きしめてください」という言葉が腑に落ちましたし、「このやり方でもできるんだ」と新しい世界が 垣間見えましたね。
そして、「美しいビジネス」という新たな指標を得ることもできました。講義のなかで、「自分が美しいと感じるビジネスを探して、その理由を教えてください」と問いかけられたのです が、企業を「在り方の美しさ」という基準で考えたことがなかったので新鮮でした。受講生の 視点もバラバラで、選んだ企業の「プロダクトが美しい」と言う人も居れば、「CSR の取り組 みが美しい」と言う人も居て、「美しさ」にも色んな種類があるのだなと勉強になりました。 また、絵を描くことに対する抵抗感が無くなりました。TCL は美術大学のプログラムなので、 最初にボールペンを一本手渡されて「内容は問わないから、とにかく絵を描いて 3 ヶ月間で使 い切ってください」と言われたんです。私は美術が苦手だったし、あまり好きではなかったけ ど、トレーニングだと思って自主的に使い切りました。
絵の描き方を教わったわけではないのですが、それから職場でのブレストやミーティングで、 文字だけじゃなくて絵や図も描くようになりましたね。資料を作る時も、デザインを意識する ようになったので、自分らしさを伝える方法の幅が広がったなと感じています。
受講を検討されている方へ
TCL は、一緒に悩める仲間と出会える場だと思っています。受講生は、企業勤めの方でも、フ リーランスの方でも、「デザインってそもそも何?」「仕事にどう活用すればいいの?」と悩まれているはずです。自分と同じ想いを持つ人たちと出会えて心強かったですし、先生方との 繋がりも財産だと感じています。修了後に、私たちのリクエストに応えて、講師の方が勉強会 を開いてくださったこともありました。
TCL は、普通に生活していたら興味を持たなかったであろう分野にも触れられる、濃い学びが 詰まった 3 ヶ月間です。実は、夫婦で卒業生(アルムナイ)になる予定です(笑)。迷われて いる方や悩まれている方には、ぜひおすすめしたいです。