更なる探求心により、
海外美術大学院 進学へ
梶 彩乃
TCLの受講を決めたきっかけを教えてください。
新卒の頃から数年間、様々なメーカーのマーケティング支援をしてきました。業務では、数字やロジックをベースにした説明が求められますが、「この延長線上だと、今までにない企画を提案するのは難しいな」と感じていて。「デザイン思考」や「クリエイティブ思考」という言葉を見聞きするようになってから、デザインに興味を持つようになりました。
本を読んでみても、実務に落とし込むための具体的な方法までは分からないですよね。双方向でコミュニケーションを取りながら学べる場に参加したいと思って、TCLの受講を決めました。私は文系出身で、デザインの全体像が掴みきれていなかったので、3ヶ月間での修了はちょうどいいボリュームでした。
デザインとは何か?
講義は、午前の部と午後の部に分かれていて、午前中はゲストスピーカーによる座学でした。私は「デザインとロジカルは対局にある」という認識を持っていたので、経営層にデザインのことを伝えるのは難しいと感じていたんです。でも、ある講師の方が「デザインをロジカルの衣に包んで、天ぷらにして食べてもらうことが大事だよ」とおっしゃっていて。相手の視点に立ち、相手が飲み込みやすい形で伝えることが大切なんだなと、強く印象に残りました。
そして、第一線でご活躍されている方々のお話を聞きながら「言葉の選び方は違っていても、本質的に伝えたいことは共通しているな」と気付きました。自分なりに「デザインって何だろう?」という疑問を消化できたように思います。
プロトタイピングに可能性を感じ、海外留学を決める
午後の部はいかがでしたか?
午後は、興味や関心が近いメンバーで集まり、一つのプロジェクトを進めていくグループワークでした。私たちのグループは「SNSで人と繋がっているものの、孤独を感じている若い世代のモヤモヤをどう解消するか?」をテーマに、インタビューやリサーチを行いました。
実際に生の声を聞くと、彼らは孤独を感じていても、地域の活動に参加するような強い繋がりは求めていないと分かりました。それを踏まえて、近所で緩い繋がりを作るために、「同じ趣味を持つ人を地図上で可視化する」というマップのアイデアを形にしていきました。
グループワークでは、試作品(プロトタイプ)を作ってユーザーテストするという流れが新鮮でしたね。口頭でプランを説明するのと、実際に試作品に触れてもらうのとでは、フィードバックの質や解像度がだいぶ変わるんです。デザインを用いたリサーチは、従来の数字と睨めっこするような手法とは大きく異なるのだと気付きました。
座学だけにとどまらず、手を動かしてプロトタイピングされたのですね。
一連の流れを体感し、「今後もデザインの手法を用いてビジネスに関わりたい」と思うようになりました。TCLは期間限定でしたが、自分の血肉にするためには、筋トレのように繰り返す必要があるなと感じて。今年の秋から、海外の美術大学の大学院に進学して、サービスデザインについて学ぶことにしました。
私は大学時代、社会的な問題の解決を目的とした、ソーシャルマーケティングの勉強をしていました。20代はモノが売れる仕組みを知りたくて、マーケティング支援の仕事をしてきましたが、将来的には社会課題解決に貢献できるようなモノ・サービスづくりに携わりたいと考えています。型をしっかりと身に付けるために、教育の場で質の高いフィードバックを受けながら、知識を自分のものにしていきたいです。
世界でも通用するデザインのスキルが身に付きそうですね。
そうなれるようがんばります。出願のときに、ポートフォリオの提出を求められたので、TCLで学んだことも盛り込みました。TCLの講師の方に、アドバイスをいただきながら出願の準備を進めたので、その点でもお世話になりました。
最後に、受講を検討されている方へのメッセージをお願いします。
今仕事をしていて「このままでいいのかな?」「もう少しいいやり方があるんじゃないか な?」と思っている方には、ぜひチャレンジしてほしいです。
私自身も、VUCAと呼ばれる先の見えない不安定な時代において、これまで良しとされてきた論理の積み上げによるビジネススキルが、果たしてどこまで通用するのだろうと思っていました。予測困難な状況下でも「こうありたい」という中長期を見据えながら、今現在について考えられるのが、デザインの力だと感じています。
そしてTCLの受講生は、年齢も職種もバラバラなので、多様なバックグラウンドを持つ方々と一緒に学ぶことができます。前向きな人が多くて刺激を受けましたし、卒業後も同期と連絡を取り合いながら「自分もがんばろう」という気持ちになれています。お互いに高め合えるような、有意義な環境に身を置きたい方にもおすすめです。